ヒトの進化と嚥下

 

喉は、鼻の奥~声帯のすぐ下までのことを言い『咽頭』『喉頭』からできています。

『喉頭蓋』は、通常は呼吸のため開いています。
これは、嚥下時には閉じて、食べ物などが『気管』に入るのを防ぐためです。

<参考>
咽頭後部
は、筋肉を収縮させて、食べ物を食道へ向けて送り込む働きをします。
 喉頭蓋は、送られてきた食べ物・飲み物を飲み込む際に倒れて、
気管に入らないように蓋をします。

※これが正常に行われず、
食べ物等が『食道』ではなく『気管』に入ってしまうことを誤嚥といいます。
この誤嚥が起きてしまった時、
口腔内の細菌が一緒に入ってしまい起きる肺炎を誤嚥性肺炎といいます。

 

普段、ヒトは呼吸をする際には鼻を使いますが、激しく運動した後などは、口でも呼吸をすることがあります。空気は『気管』へ。食べ物・飲み物は『食道』へ。正確に機能し、分別の仕事をしていくのが『喉頭』という訳です。そして、重いものを持ち上げるために力を溜める・踏ん張る等、呼吸を止めて肺の空気を閉じ込め、体全体の筋肉を効率良く動かす・・・肺から送られてきた空気が『声帯』を振動させ、これを音にして、咽頭・鼻・舌・口蓋・唇を使い音色を加え、言葉にする。 そんな働きもあります。

 

音声言語では「イ」という音は、人間にしか発音できないスーパー母音とされています。

これは、ヒトが直立歩行を始めたことにより、声帯を囲んでいる喉頭の位置が他の哺乳類動物に比べて、垂直に低い位置になり、声道が広くなり、丸みのある舌が多様に形を変化させることができるようになり、巧みに、発声できるようになったから・・とされています。
俗に言う「のどちんこ」が付いている『軟口蓋』は、言葉を作る時にも重要な役割を果たしていますが、その他にも、食べ物・飲み物を飲み込む時に、反射的に持ち上がり、鼻に逆流させないようにする働きをします。

しかし、良いことばかりではなく、【食べ物・飲み物が通る道】と【空気が通る道】が同じ・・・という距離が他の動物達よりも長くなってしまったため、誤嚥を起こしやすくなってしまいました。老化に伴い、直立歩行のヒトは重力に逆らえなくなり、喉頭の位置が更に下がり、咽頭腔が広くなり、空気が通る道『気管』と食べ物・飲み物が通る道『食道』の部分の交差点が更に更に広くなってしまい、誤嚥を起こしやすくなってしまう・・という訳です。

 

 

ヒトの新生児~乳児は、動物たちと同じように、嚥下と呼吸を同時に行うことができます。試していただくと分かりますが、これは成長と共にできなくなっていきます。このことは直立二足歩行への進化が関係しており、軟口蓋と喉頭蓋が進化と共に接触しなくなったことが理由とされています。

 

 

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