噛む筋肉の変調がもたらす体への主な影響(整体的な観点から)
①噛むことや顎関節の調子がおかしくなる
②体がねじれる、偏頭痛をもたらす
③体に力が入らなくなる、体が重く感じる
④顔の歪み、頬のたるみや、目の調子の変調など
「顎関節症」「痛くて噛めない」「口を開くと痛い」「顎が歪んでいる」「噛み合わせが悪い」などなど、
顎関節に関係するトラブルを抱えた人がしばしばやって来られます。
歯や歯茎などに問題がないのにこうしたトラブルを訴える人の多くは顔(頭蓋骨)が歪んでいるからですが、
それは体の歪みが顔にまで及んでいる場合がほとんどです。
そして、このような方々のほとんどが、どちらか一方の、あるいは両方の噛む筋肉がゆるんでいます。
整体師として仕事をしていてつくづく思うことは、“噛む筋肉からお腹の筋肉までは本当に大切だ”ということです。
このラインがしっかりしていないと全身がしっかりしてきません。
誰もが重い荷物などを持ち上げたりするような、強い力を使うときには必ず歯を食いしばります。
歯を食いしばるという行為は、噛む筋肉を収縮させる、ということです。
まず噛む筋肉に力をいれておいて、それから腕や腰や足の筋肉に力を入れるようになっています。
これが私たち人間をはじめとする脊椎動物の筋肉システムです。
“口を開くと痛む”、“口を大きく開けることができない”というのは、顎関節にズレがあるなど問題があるからです。
顎関節は下顎と耳のある側頭骨との関節ですが、そしゃく筋が直接的に影響を及ぼすこととしては、
左側あるいは右側の一方でばかり噛んでいる“片噛み癖”によるものがあります。
単純な例では、よく噛んでいる方に下顎が引き寄せられます。
するとそれだけで顎関節はズレを起こした状態になりますので、噛み合わせもおかしくなったり、
開口時に違和感や痛みをもたらすことになります。
ただし、実際に顎関節に症状をもった人を見ますと、そしゃく筋が直接関与しているケースよりも、
体が捻れていたり、頭蓋骨が歪んだりしている影響が顎関節に及んで症状をもたらしている場合が多いので、
施術では全身の歪みを修正していくことになります。
それでも、全身の歪みの出発点が“片噛み”などそしゃく筋の変調である場合もかなりあります。
体がねじれだす原因はいくつも候補がありますが、
顔の中では目の使い癖と片噛みの癖がねじれの出発点になりやすい要素です。
片噛みの癖では、よく噛んでいる方に体の捻れが始まります。
例えば右側の歯ばかりで噛んでいると、肋骨の上部が右の方にねじれます。
すると体はそれを修正するようにバストのあたりが左側にねじれます。
するとその下が右の方に、へそあたりを境にして骨盤は左側に‥‥、と複数のねじれが生じます。
ですから片噛みの癖は直さなければなりません。
“頬がたるむ”という状態は、顔の皮膚や筋肉(表情筋)がたるんだ状態になっているということもありますが、
頬骨そのものも下がった状態になっています。
上記②のなかで顔の骨が下がる理屈はお話ししましたが、
そしゃく筋がしっかりしているかどうかは顔にハリを保つ要になると云っても過言ではないと思います。
片噛み癖がある場合、噛んでいる方の頬はシャープになり、噛んでいない方はボワンとした感じになります。
そんな観点でご自分の顔を鏡でご覧になってみてください。いかがでしょうか?
顔が歪む原因もさまざまですが、そしゃく筋の変調は大きく影響を及ぼします。
眼鏡をかけている人は、鏡で自分の顔をみたときなど、眼鏡が水平でないことがあると思うかもしれません。
それは耳の高さが左右で違うからなのですが、側頭骨の高さが違うということなのです。
上記②でそしゃく筋と胸鎖乳突筋は連動していると申し上げましたが、
胸鎖乳突筋は側頭骨に付着している筋肉ですから、そしゃく筋の状態は側頭骨の高さに影響するという理屈になります。
また、咬筋にしても側頭筋にしてもそしゃく筋は側頭骨や頬骨と下顎骨を結んでいますので、
下顎が左右で違うということにもなります。噛み合わせにも影響します。
“骨がずれると血流やリンパの流れが悪くなる”というのが、ここでの根本的な考え方です。
顔がむくむというのは、顔の骨格がずれているからです。
話が飛躍しますが、膝から下がむくんでパンパンするというのは、膝関節がおかしいからです。
痛みを感じるほどではなくとも微妙にずれているので、血流やリンパの流れが停滞するのです。
ところで、目や耳や鼻といった感覚器官は非常に繊細ですから、
血液の流れが少しでも低下しますと違和感を感じるようになります。
顔や頭の骨格がずれていると、これら感覚器官の能力が落ちてしまいます。