「よく噛む」ということ

「噛む」ということは歯と顎の骨が丈夫でないと、なかなか噛むということはできません。もちろん、歯がないと、なかなか噛むことはできませんし、土手で噛めないことはないのですが、シッカリ ものを食べようと思うと、歯と顎の骨が丈夫であることが必要となってきます。

 

よく噛むことによって、歯と顎の結合力が強くなることも科学的に分かってきました。これは、一体どういうことなのでしょうか。

 

細胞が活動していくため・・人間が生きていくためには、タンパク質や糖質、脂肪、それからビタミン、ミネラル、ホルモン等といったものが必要です。しかし、人間が生きていくためには、「ただ食べて栄養を取る」だけでは十分ではありません。細胞に加えられる機械的・物理的な力が必要です。

これは、噛んだ時に ギュッ と、ものを噛むということです。

奥歯がシッカリあると、奥歯の噛む力というのは、1cm²当たり 体重の2~3倍の力で噛んでいます。したがって、60kgの人がギュッと噛むと力の強い人ですと180kgの力でものを噛んでいることになります。そのような強い力で食べ物が粉々に砕かれて胃の中に入っていくということです。

 

歯の周りの所・・骨との間に、チョコチョコチョコと線維が入っています。
これは歯根膜と呼ばれるものです。
この歯根膜に刺激が伝わって、これから顎の骨に力が伝わっていきます。
顎の骨に力が伝わると、それが頭の方に伝わって、
骨の中にある細胞を引っ張ったり押したりして人間の体を作り変えていきます。
簡単に言えば、噛むことによって骨が作り変えられていきます。

 

この「作り変えられていく」ということは、

「骨が強くなる」ということです。

 

もし噛めなくなってしまったら・・・例えば、虫歯とか事故などで歯がなくなってしまった場合。噛むことができないので、急激に骨がなくなって
痩せてしまうということになります。

そんな訳で・・・
先ほど人間が生きるために必要な栄養素がいっぱい出てきましたが
そういうものが、もし いっぱいあったとしても、噛むことができなければ
上手く消化もできませんし、体もストレスを感じるでしょうし、
痩せていくということになるのです。

 

いかに食べることが大事なのか歯が大事なのか、お分かり戴けたでしょうか?

 

実際に、どういうことが噛んだ時に起きているのか?という実験です。これは、神奈川歯科大学の教授が行った実験です。

ウサギの歯にバネを装着して矯正みたいな感じに、歯にギュ~~~ッッと常に強い力が加えられるようにしました。すると、骨を作る細胞(骨芽細胞)がいっぱいできるのに必要なコハク酸という栄養素が増えていることが明らかになったそうです。

それとは逆に、噛めなくなってしまったら どうなってしまうのでしょうか?こちらはネズミを使って実験したものです。 ネズミの歯の噛み合せを上手くいかないように臼歯を全部削ってしまいました。すると、歯と顎をつなぎ合わせている歯根膜を細胞を作る能力が最初の12時間で
3分の1ほどに低下して、3日間で歯根膜を新しくしよう新しくしよう・・
という働きがなくなってしまいました。

 

以上の2つの実験から、歯に物理的な力を加えると、顎の骨の表面で骨を作っている細胞が栄養を積極的に取り込もうとして、骨を作る作用が活発になることが分かります。

歯に加えられる力がなくなると、顎の骨と歯をつなぐ役割を果たしている歯根膜の細胞の合成がされにくくなります。

要するに、強く噛めば噛むほど 歯と顎の骨がより強く結びついて・・・
逆に、力が加えられなくなれば、結合度が弱くなって、歯がグラグラしてくる・・ということになります。

 

そして、人間の実験もあります。抜いてしまった歯の表面から歯根膜を取ってきて、その歯根膜を培養しました。すると、その細胞は10日間で細胞から伸びる本来、歯と骨を結びつけている線維を伸ばして、シャーレいっぱいにまで伸ばしたそうです。

 

骨をその気にさせることが先決です!!

ご飯を食べて 強い力を与えるためには、

骨がカルシウムを受け入れる体制を作ってあげないといけません。

土台を作ってあげないといけないということです。

 

そのためには、よく運動し、
新陳代謝を活発化させてあげることが必要です。

なかなか難しいことですが、適度な運動が必要です。

 

骨自体も人間の体というのは、3ヶ月くらいで半分くらい新しいものになってしまうそうです。半年経つと、完全に新しくなってしまいます。骨は、それだけ強いエネルギーを必要としている訳です。

 

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