歯周病とは、いったい、どのような病気なのでしょうか。

『歯槽膿漏』の言葉の由来ですが、
歯茎の中で歯の根を支えている歯槽骨の辺りから膿が漏れ出してくることから、一般的にそう呼ばれるようになってきました。

現在は、『歯周病』と呼ばれています。

歯周病は、歯の周りの病気のことです。

歯の周りを支えている骨があって、その骨と歯を支えているハンモックのようなものがありますが、これを『歯根膜』といいます。この歯根膜は、トランポリンのように繊維でつながっている状態なので、健康な人でも口の中に手を突っ込んで歯をグイグイやると、多少 動く訳です。

 

歯周病と虫歯の違いですが・・・
虫歯は、外からアプローチしてくる歯周病とは異なり、歯の中に潜り込んでくるものです。

歯周病は、歯と歯茎の境目から侵入してきて、根に沿って進み、歯茎に炎症を起こしたり、骨を溶かしていきます。そして、歯茎が下がってきて噛んだ時の圧力に耐え切れなくてグラグラになっていく、そんな病気です。

上記のグラフは、国が6年毎に行う 生き学検査 『歯科疾患実態調査』 平成17年のものです。

4mm以上の歯周ポケットを持つ者の年次推移を表しています。

 

年齢が上がってくるにしたがってポケットを持つ人が増えていっているのが分かります。
(若い方は、あまり変わりはありません。15~44歳の方々が減少傾向にあるのは、歯みがきの教育が浸透してきたからだと考えられます。)

これは、昔は、歯をポンポン抜いていて、歯周ポケット自体がなくなっていく人(入れ歯になる人)が多かったからです。

最近は「歯を残そう!」と、最小限の侵襲で歯を回復させよう、歯を保存しようという動きがあり
(=ミニマム・インベンション)、技術が進歩したおかげで、歯がたくさんある人が増えてきました。
総義歯になる人が少なくなってきて、ポケットを持つ人が増えてきたということです。

 

歯周病の原因は、基本的には、みがき残しからくるプラークです。

食べ物を食べると、歯と歯の間や、歯と歯茎の境、歯の表面にも食べ物のカスが付着します。それに普段 口の中にいる細菌がくっついて、食べカスを栄養にして、細菌をどんどん増やしていきます。この増やしていった細菌の塊がプラークです。

食べカスそのものは、プラークではありません。

プラークの中には様々な形のものがあります。食べカスだけでは飽き足らずに、歯茎の中にも侵入して、毒素を出して膿を出します。歯茎を脹れさせます。そこから血管に潜り込んでいきます。骨も溶かしていきます。

すると、菌血症(きんけつしょう)など、怖い病気を引き起こす原因にもなっていきます。しかしながら、そこまでの症状になるまでには、かなりの痛みを伴いますので、なかなかないことだと思われます。

 

軽度歯周炎
少し歯茎が脹れてきて、歯石がかなり付いてきているような状態

 

中等度歯周炎
軽度歯周炎が、根に沿ってどんどん先に進んでいくと、歯周ポケットが4~7mmになっていきます。この時点で何とかしておかないと、歯茎を元に戻すのが大変になっていきます。

 

重度歯周炎
歯の根の先の方だけで支えられているような状態。グラグラしてきて、なんともならなくなってきてしまいます。噛んだり、歯軋りをしただけで歯が動き、痛みを感じます。それでも噛めることは噛めます。

 

 

歯周病をどんどん悪化させている原因

直接的な原因は、細菌の塊であるプラークです。そのプラークが固まって歯石を作り、カチカチになってきます。その歯石。歯石の中にも細菌がいます。

そして、タバコ
タバコは免疫力を低下させます。熱い煙を吸うので、口の中が低温ヤケドの状態になります。常に保温している状態なので、細菌が活発になりやすいと言えます。

糖尿病

思春期・妊娠・更年期など、ホルモンのバランスを崩した時。体の調子を崩した時などに起こりやすいです。

ストレス。ストレスを感じると血管が縮みます。
血管が縮むということは、普段、口の中にいる細菌と、血液の中にいる白血球が常に戦っていて、バランスをとっているのですが、血管が縮むと流れてくる白血球の数が減少してしまうので、細菌の方が優勢になってしまいます。歯周病が悪化する要因の1つになってしまうのは、このためです。

口呼吸。口の中が乾燥してしまうので唾液が出にくくなります。唾液が出ると、ある程度 洗い流してくれたり、酵素もありますので、細菌をやっつけてくれます。

そして、食生活。いつまでも食べたり飲んだりしていると、お口の中が長い時間 酸性に傾いています。歯がどんどん溶かされ、歯の表面がザラザラになっています。そのザラザラになった表面にベタベタ付着しやすくなります。又、クッキーなど歯に詰まりやすい食べ物や、飴などベタベタ付着しやすい食べ物ばかりを食べていると、歯周病になりやすくなります。

それから、歯並びの悪い人。これは、みがき難いという理由です。

遺伝もあります。

 

 

歯周病は、脳卒中や脳梗塞、脳内出血などの脳血管疾患の原因になりやすいと言われています。

歯周病になると血管の中にばい菌が入りやすいため、歯周病になっていない人に比べると、全身疾患に罹る確立が高いそうです。

他にも、呼吸器疾患
肺や気管などに毒素が入って、肺炎になることがあります。

早産・低体重児
おなかに赤ちゃんがいる お母さんが重度の歯周病に罹ってしまっている場合。へその緒で、お母さんと赤ちゃんはつながっているので、赤ちゃんの方に毒素が流れて伝わっていってしまうと、早産であったり、未熟児で生まれてきてしまったり、流産をしてしまう危険性が高いです。
悪阻で気持ち悪く、歯みがきができない場合には、できれば、チョコチョコと休み休み、数回に分けて みがいていただけるといいなと思います。

心循環器疾患・冠動脈疾患も起こりやすいです。

これらを防ぐために、とにかく、溜まったものを取り除かなければいけません。そのために、歯科衛生士が一生懸命、教えているのがブラッシングです。  

そのブラッシングの方法も、歯の表面ばかりをみがいてもダメなので、歯と歯茎の境目のところも丁寧にキッチリみがかないといけません。

 

細菌ですが、表面に見えているのは黄色い色をしていて、酸素を吸って生きています。(=酸素がないと生きていけない細菌)

歯と歯茎の境目の中の方にいる細菌は、嫌気性細菌といって、空気を嫌います。中に入ってくる栄養だけで生きているような細菌です。こちらの細菌が出す毒素の方が強く、黒く、ベッタリした歯石になっています。

黄色い歯石だけでしたら、そんなに大したことはないのですが、後者の黒い歯石が問題なのです。これは、スケーラーと呼ばれる鎌のようなもので、歯と歯茎の隙間の部分に入れて、下から掻き出します。

 

お掃除だけでは何ともならなくなった時、超音波のチップで行うとか、歯石を取るような機械は、4mmほどしか入っていきません。もっと奥にある歯石を取らなければならない時には、手術になってしまいます。麻酔をして、歯茎を少し剥がして、根が見える状態で歯石を取ります。

 

インプラントは、金属なので虫歯にはならず、痛くはなりません。歯根膜もなく、骨に直接 付いていますので脹れたりしても、痛みは ほとんどありません。グラグラしてくると、インプラントはもう抜けてしまいます。そのような状態になる前に、メンテナンスには、きちんと来ていただきたいと思います。

インプラント本体にも歯石は付きます。骨をどんどん溶かしていきます。歯肉の部分に隠れて溜まっているプラークや歯石は、歯みがきでは取ることができません。専門家に任せてください。