歯の形成 ~胎児の頃から~

赤ちゃんの乳歯は、だいたい生後5~6か月頃から生え始めます。しかし、歯の”芽”である歯胚は、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる妊娠6~8週から作られ始めています。 歯胚の形成の始まりは、口の中の上皮細胞の分裂です。最初は小さな細胞ですが、分裂・増殖を繰り返していくと、エナメル質や象牙質のもととなる細胞に成長していきます。 

妊娠4~6か月頃に少しずつ歯の形に近づき、石灰化して硬さを増していきます。

誕生する頃には、ほとんど完成に近い歯の形となって歯肉の中に隠れているのです。

永久歯が生えるのは5~6歳からではありますが、永久歯の歯胚の一部も妊娠4か月頃から乳歯の歯胚の下で成長を始めます。

 

『開始期』

胎生約6週【胎長は10~13mmほど】・・・乳歯発生(歯堤の出現)

『蕾状期』

胎生約8週・・・歯堤に沿って、20個の結節状の膨隆ができる=乳歯歯胚 

『帽状期』

胎生約10週・・・歯胚の形が杯状から鐘状へ。エナメル器、歯乳頭が形成されます

『鐘状期』

・歯乳頭から象牙質が作られ、歯乳頭自体は歯髄になります
・周囲の結合組織から歯小嚢が形成されます

 

・歯胚が内部へ成長すると同時に、歯乳頭は深くなり、釣鐘状を呈するようになります
・エナメル上皮は、エナメル芽細胞に分化し、エナメル質を形成します
・象牙芽細胞は、歯乳頭から分化し、象牙質を形成します

軟組織としての歯冠部分の形成と石灰化が開始されます
・乳中切歯・・・胎生約4ヶ月
・第二乳臼歯・・・胎生約6ヵ月

※乳歯歯冠の完成は、生後1年以内に完了 

 

お母さんが妊娠中にテトラサイクリン系の抗生剤を服用したり、8歳以下のお子さんが服用することによって、骨や歯牙形成に有害作用が起きてしまうことがあります。これを『歯牙黄染』といいます。歯牙黄染が起きてしまった歯のことを、テトラサイクリン歯と呼びます。これは遺伝とは関係ありません。

※テトラサイクリン
数種の放線菌から産生された広範囲抗菌性抗生物質。
テトラサイクリンはクラミジア感染症、リケッチア感染症、マイコプラズマ感染症、
ブルセラ症、梅毒、ライム病、レジオネラ症、ツツガムシ病等で使用される。

 

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