医療費控除のわかりやすい解説

このページは、静岡がんセンター「よろず相談」が実施しました学習会『学びの広場』の

講習内容をもとに作成したパンフレットより抜粋してあります。

又、こちらのパンフレットは、

国税庁ホームページ http://www.nta.go.jp/ 平成19年9月のものを参考としております。

 

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 

 医療費控除とは?

 

本人、又は、生計を一にする家族・親族※1が、

その年(1月1日~12月31日)に支払った医療費※2が対象となります。

 

※1 扶養の有無・同居か否かは問われません。

   日常の生活費用を共にしている人のことをいいます。

   共働き夫婦や、同居せずに下宿している大学生の子どもであっても

   同一生計であれば、『生計を一にする家族・親族』になります。

 

 

※2 12月に受診した場合でも支払いが1月の場合には、

    その年の対象にはなりません。

    申告を忘れた場合でも、過去5年間分については、さかのぼって申告することができます。

 

 

医療費控除を受けるためには、原則として 領収書が必要です。

 

病院にかかった時の領収書・病気を直すために買った薬のレシート・

介護ヘルパーをお願いした時の領収書なども保管しておきましょう。

 

名前(治療を受けた人)別や、病院・薬局別に 分かりやすく 分類しておくといいですね。

 

家族が多い場合には、日頃から 

誰のもので

どんな治療のために

払ったものなのか、領収書やレシートの裏にメモしておくと

後でも楽に整理することができます。

 

 

 

医療費控除の対象となるもの

 

  • 医師・歯科医師による診療や治療代 

(美容整形の手術費用・人間ドック・健康診断の費用は対象となりません)

人間ドックや健康診断で、病気が見つかり、引き続き 治療を受ける場合には、

治療に先立って行われる診察と同様に考えられ、控除の対象になります。

 

 

  • 風邪薬・胃薬・傷薬など、治療・療養のための医薬品の薬局での購入

(ドリンク剤やビタミン剤やサプリメントなどの健康増進・疾病予防のための医薬品や

シップの購入は、対象になりません)

 

 

  • 病院や診療所、介護老人保健施設、助産所に収容されるための人的役務の提供

      ・・・・急患で病院に運ばれる費用・通院費など

 

 

  • 治療のための あんま・マッサージ・指圧師・はり師・灸師・柔道整復師による施術

 

 

  • 保健師や看護師・准看護師・特に依頼した人(家政婦など)による

     在宅療養を含む療養上の世話

(親族に支払う療養上の世話の費用は、対象になりません)

 

 

  • 助産師による分娩の介助

 出産費用(入院費用・出産、分娩費用・出産前定期検診費用)も控除対象になります。

出産手当金は、欠勤中の給与減額分を補てんするものなので、医療費から差し引く必要はありません。

 

●出産手当金とは、労働基準法で認められている産前産後の休業期間中に

  無休の場合の所得を補い、安心して出産できるように、健康保険から賃金の一部に相当する

  現金が給付されるものです。

 

 

  • 介護保険制度のもとで提供される

  指定介護老人福祉施設サービス対価※32分の1

※3 特養ホーム・老健施設などの入所費

 

 

  • 介護保険制度のもとで提供される居宅サービスの自己負担額

 

 

  • 診療や治療などを受けるために、直接 必要な通院費用・入院の部屋代や食事代・

     医療用器具(治療用眼鏡やストーマ装具など)の購入代や賃借料の費用

 

近視や老眼矯正のための眼鏡・コンタクトレンズの購入や、健康管理のための血圧計、

高齢者に使用する補聴器は対象になりませんが、

弱視・斜視・白内障・緑内障・その他の眼科疾患の治療に必要な眼鏡(処方箋)や

医師の指示による血圧計・生活の最低限の用を足すための義手や義足、松葉杖、補聴器、義歯は対象になります。

 

 

  • 診療や治療などを受けるために直接必要な義手・義足・松葉杖・義歯などの購入費

 

 

  • 主治医が記載した『おむつ使用証明書』による おむつ代

 

 

  • バスや電車を利用の場合の通院費 

電車やバスでは、領収書が出ないのが普通ですから、これらについては

「医療費の内訳」に記載することが必要となります。病院の領収書があれば、通院した日が分かるので

それをもとに交通費を書き出しておきましょう。

 

(自家用車通院の場合のガソリン代・有料道路代・駐車場代・

  一般的なタクシー代は対象になりません)

 

 原則として、タクシー代は対象になりませんが、

緊急に病院で処置対応をしてもらわなければならない場合や、

歩けない場合など、病状から見て急を要する場合には、タクシー代も対象となります。

1人では通院できない場合の付き添い人の交通費も対象になります。

 

 

 その他には・・・・・

 

診断書などの作成費用や、医師が処方した漢方薬以外の漢方薬は、控除対象になりません。

 

又、医療費控除は、実質的に負担した医療費のみとなりますので、

高額療養費、家族療養費、出産育児一時金、家族出産一時金、

入院共済金、生保・損保からの入院・手術給付金、

健康保険などで補われる金額は、医療費から差し引いて計算しなくてはなりません。

 

最低限度額は、10万円。最高限度額は200万円ですが、

所得が少ない場合には、支払った医療費の合計が10万円以下でも

医療費控除が受けられる場合もあります。

 

又、領収書がなくなってしまった場合ですが、領収書の再発行を依頼するのが簡単です。

再発行が受けられない場合や、やむを得ない理由で領収書を入手できない場合には

治療などを受けた事実を立証するものを持参したり、その理由と支払い内容を示したりして

税務署の窓口で相談することができます。

 

 

 

計算方法

 

『その年に支払った医療費』 - 『保険金などで補てんされる金額』 = A

 

A - 『総所得額の5% 又は 10万円 どちらか少ない方』 = 医療費控除額(200万円まで)

 

 

 

医療費控除に必要なもの

 

  • 給与所得の源泉徴収票

 

例:平成21年分の源泉徴収所得額の還付を受ける場合には、

  『平成21年分給与所得の源泉徴収票』が必要です。

 

・コピーは不可。紛失した場合には、勤務先で再発行してもらいましょう。

 

 

  • 確定申告書 A 又は B

 

・申告する所得が給与所得・雑所得・配当所得・一時所得しかない場合には

 『確定申告A』を使用します。

 

・個人事業者は、『確定申告B』を使用します。

 

・どこの税務署でもらっても かまいません。

 

・国税庁のホームページ http://www.nta.go.jp/ よりダウンロードすることもできます。

 

 

  • 医療費の明細書

 

・支払った医療費の明細を記録する用紙が必要です。

 

・確定申告書と一緒に、税務署でもらいましょう。

 

・国税庁のホームページ http://www.nta.go.jp/ よりダウンロードすることもできます。

 

 

  • 医療費の領収書・レシート

 

例:平成21年度分の還付を受けるには、平成21年1月1日~平成21年12月31日に支払った

  領収書やレシートが必要になります。

 

・コピーは不可です。

 

・電車代・バス代などの領収書やレシートのないものは、

 『医療費の明細書』に記載すれば大丈夫です。

 

 

  • 医療費を補てんするものの書類

 

・金額が分かるものを用意して下さい。

 

 

  • 銀行口座番号

 

・還付金振込み用の銀行口座番号が必要です。

 

・夫の還付金を妻の口座に振り込むことはできません。

 申告者本人の名義でなければいけません。

 

 

  • 印鑑

認印でもかまいません。

 

 

 

所得税の確定申告期間は、毎年 2月16日~3月15日(土曜・日曜と重なる場合には翌月曜日)の

1ヶ月間に決まっています。

 

税金を返してもらう申告『還付申告』については、年が変われば、いつでも できることになっています。

 

居住地を管轄する税務署に提出します。

 

国税庁のホームページ http://www.nta.go.jp/ の 『確定申告書作成コーナー』を利用すると、

税額の計算が自動でできたり、申告に行かなくても 家で行うこともできます。

方法は、必要事項を入力し、申告書を作成します。

できあがった申告書を印刷して、必要書類と一緒に税務署に郵送するか、

国税電子申告・納税システム e-Tax を利用して、そのまま送信することができます。

詳しくは、国税庁ホームページの『Web-Tax-TV』 の 『ジャンルで選べる税金ガイド』をご覧下さい。