脳の秘めたる底力2/前頭葉

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前頭葉 とは、オデコの張りのある部分にあります。
意欲やコミュニケーションなど、主に、『人間らしさ』を司るところで、 「人間らしさの脳」と呼ばれています。

小さいお子さんが育っていく時に  急に オデコが張り出してくる時期があります。

昨今、いろいろと事件が起きていますが、 この前頭葉の働きが悪いと思ってください。
悪いから人を殺したり、悪いことをするのです。
 
私が1988年に出会ったAさんは、生まれつき 脳の障害を持っていました。
そして、2歳半の時に前頭葉の半分を失いましたが、早期発見をして、 早期に行動療法・音楽療法の治療をしてきましたので、日常生活での自立を果たすことができ 現在は、普通どおりの生活をしています。
 
1993年に出会ったⅠさんは、Aさんのように早期発見・早期治療ということができませんでした。 生まれて間もない 生後3週間目に、突然 高熱を出しました。 お医者さんからは 「風邪です。」 と言われました。 39度台の高熱が続き、薬をもらうために 毎週 病院へ通っていましたが 1ヶ月経ってもダメだったそうです。 そして、お医者さんを変えました。 そしたら、病名が分かりました。

脳の病気 だったんです。

結局、ずっと放っておいたということに なってしまったんですね。
その間に、脳の病気が進んでしまった・・・・。
2ヵ月後には体と知能に障害が出て、「知能に障害が残ります。」と言われてしまいました。 3歳の時には激しい ひきつけを起こし、手術をすることになり、 前頭葉を半分失うことになってしまいました。

ですから、この時には 人間らしさがなくなってしまった ・・・ということなんですね。

このお母さん、この子のために 一生懸命やりました。
しかし、長い間、 『出会い』 がなかったんです。

月日は流れて・・・・・・Ⅰさんが19歳の時に、 『出会い』 が起こりました。
大阪芸術大学の ノダ先生です。 この大学は、音楽の専門の学校で、音楽運動療法というものを行いました。 この音楽運動療法、どんなことをするのかというと、 音楽をかけて、その音楽に合わせて トランポリンを飛ぶんです。 そうやって、脳に刺激を送るんですね。 ただ・・ここが、他と異なるのは、 生演奏 なんですね。 ノダ先生と、そのお子さんが 一緒にトランポリンを飛んでいるのを見ながら、 それに合わせての生演奏なんです。 さすが、音楽の大学だな・・と思いますね。 残念なことに19歳までは歩けなかった・・・・それまで歩けなかった子が 治療を開始して 1年後に 歩けるようになりました。 すごいですよね。 そして、この刺激を続けていたら、特別なことが起こりました。 絵を描かせてみたら、これが上手いんです。 昨年は、個展を開いたそうです。 書の方も、最初は、自分の名前を書くところから始め、 なかなか味のある素晴らしい字を書いています。 ですから、こういう治療で素晴らしい方に出会うと、年齢が遅くても大丈夫なんだな・・・と 私は、このⅠさんから学びました。

普通、年齢が進むと、なかなか難しいのですけどね。

 

次回は、『左手だけのピアニスト』です。

脳の秘めたる底力3/左手だけのピアニスト