全身の健康と歯周病の関係

近年、歯周病とさまざまな病気に関連があることがわかってきています。

因果関係が明らかなものや、関与の程度に違いがあるもの、まだ解明が十分でないものもありますが、口の中を清潔に保つことが病気予防においても重要であることが分かってきています。

 

歯周病は、歯肉炎と歯周炎に分けられます。

歯肉炎・・・歯肉炎は歯周病の始まりで、炎症が歯肉に限局して起こります。 歯肉が赤く腫れたり、出血しやすくなります。 歯肉炎を放置しておくと、さらに炎症が進行し、歯周炎となります。

歯周炎・・・歯の周囲に深く広がる炎症であり、磨くだけでは治癒しないので治療が必要。歯肉退縮・歯根露出・排膿・口臭・違和感・歯の動揺などの症状があります。

 

プラーク中の細菌が歯肉に接触すると、「炎症」が起こります。これが歯肉炎の始まりです。 この時点ではよほどのことがないかぎり、適切なクリーニングと管理により炎症は治まります。しかし、適切なクリーニングも行なわれず不衛生な状態が続いたりすると、細菌は歯根に沿ってより深部に浸入し、炎症を広げ、毒素を出し、歯周組織を破壊していきます。

歯周病の主な原因は、プラーク中に含まれる細菌です。

歯周病についてはさまざまな細菌が関連していると言われ、その特定は難しいといわれてきましたが、近年の研究により、関連深い細菌がわかってきました。 その中には、歯周病に限らず全身的な疾患にも関連するものもわかってきており、歯科に限らず医療全体で注目されつつあります。

これらは、毒素を持ち炎症を誘発します。上皮や血管の内側から細胞内に侵入できる細菌もおり、これによって口の中だけなく、全身に影響を及ぼすことが分かってきています。

 

 

歯周病を防ぐということ

「歯を失わない」ということだけでなく、全身の健康を守るためにも非常に重要です。

歯を失う原因のトップは歯周病です。

むし歯に比べ自覚しにくいこともあり、ようやく歯科医院に訪れたときには歯の保存が不可能な状態まで悪化しているようなケースも少なくありません。
歯が少なくなると、食べ物をかむことが不自由に感じる人が増え、そのことにより食べるものに偏りができ、生活習慣病を招いたり、低栄養を招く可能性があります。
「かむ」ことが視覚や聴覚、記憶力等にも影響を与えるともいわれ、かめる歯を残すということ、そのこと自体が全身の健康維持にもつながるのです。

歯周病原菌は、血液中や粘膜の上皮や血管の内皮などからも侵入して増殖することができるため、血流に乗って全身に疾患を引き起こす危険性を持っています。 プラーク中など口の中に存在する細菌はさまざまありますが、歯周病原菌は、血液中や粘膜の上皮や血管の内皮などからも侵入して増殖することができるため、血流に乗って全身に疾患を引き起こす危険性をもっています。

たとえば、心筋梗塞で亡くなった方の冠状動脈から歯周病原菌が検出されたり等、口以外の場所の病巣で検出されるケースも少なくありません。さらに、歯周病原菌の毒素は、菌が生きていなくても血中にあると全身に炎症を起こすこともあるため、さまざまな角度から研究がすすめられています。

また、心臓や血管以外にも気道に入り込み呼吸器系の感染症(肺炎など)を引き起こしたり、糖尿病におけるインスリン抵抗性や子宮の収縮による早産、低体重児の出産などにも関連深いことがわかってきています。

歯周病は、口の中だけの問題ではなく、命にも関わる全身的な疾患にも影響することを認識したいものです。

歯周病の原因である細菌、すなわちそのかたまりであるプラークを取り除くことは、そのまま予防にもつながります。プラーク中には、むし歯の原因菌もいますから、むし歯の予防にもつながります。

歯周病原菌は目に見えない深部に存在しますので、家庭での歯みがきだけでは取り除くことができません。歯石になってしまうと、もう歯ブラシで除去することはできません。 歯周病は、みがき残しやすいようなわかりにくい所からひっそりと進行していきますので、歯科医院での定期的なクリーニングおよびチェックアップも非常に重要です。

 

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