インプラント治療は安心・信頼の当院へ。院長:歯学博士/静岡県インプラント研究会元会長/ICOI指導医・入会審査員/鶴見大学臨床研修施設長

ビスフォスフォネート(以下、BPと表記)は全世界的に骨粗しょう症の第一選択薬になっています。又、悪性腫瘍による高カルシウム血症、固形がんの骨転移や激しい骨破壊を伴う多発性骨髄腫でもその有用性が証明されています。その他にも骨量が減少する様々な疾患に対して骨量を回復させることが示されています。

しかし、近年、BP製剤を投与されているがん患者や骨粗しょう症患者が抜歯などの外科的治療を受けた後に顎骨壊死(Bisphosphonate-Related Osteonecrosis of the Jaw =BRONJ)の発生が見られ、BPとの関連性を示唆する情報が相次いでいます。

■BP系薬剤投与を予定されている患者さまは、抜歯などの外科的処置は投与前に行い、治癒後の投与開始が奨励されます。
■既に投与されている患者さまの内、高リスクの患者さまでは可能な限り外科的処置を避け、代替の歯科治療を選択します。又、定期的な歯科受診により口腔衛生状態を良好に保ちます。その際には、顎骨壊死の症状の有無の確認やX線写真上の変化について経過観察を行い、顎骨壊死が発症したとしても早期のステージで対処できるようにします。

 

※BRONJ発症のリスクファクター(Risk factor : 危険因子)
1.BP製剤によるもの・・・注射剤1~2%>経口剤0.01~0.02%
                ゾレドロン酸 >パミドロン酸
                長期間投与>短期間投与
                ●経口剤は数年間投与の場合、注射剤に匹敵する蓄積量に達する可能性あり
2.局所的なもの・・・抜歯・インプラント・歯周外科など、歯科外科的処置
            義歯による褥瘡性潰瘍
            口腔衛生状態の不良
            下顎骨>上顎骨
3.全身的なもの・・・癌(多発性骨髄腫・乳癌・肺癌・前立腺癌はBP製剤による治療が主流)
            糖尿病・頭部や頸部への放射線治療・化学療法・ステロイド療法
            貧血や他の血液疾患・血液循環不良や血液凝固障害
            アルコールの多飲・喫煙・栄養不良
4.先天的なもの・・・候補遺伝子としてはマトリックスメタロプロテアーゼ-2、
            あるいはチトクロームP450-2C8(CYP2C8)遺伝子の多型性など
5.その他・・・サイクロフォスファミド、エリスロポエチン、サリドマイドなどの薬物
        飲酒・喫煙は発生頻度を高める、予後も悪くする。
        口腔衛生の不良

 

※※BRONJの診断基準 : 以下の3項目の診断基準を満たした場合にBRONJと診断する
診断された場合、直ちに口腔外科を擁する病院歯科に処置を依頼・連携することが望ましい。

1.現在あるいは過去に製剤による治療歴がある
2.顎骨への放射線照射歴がない
3.口腔・顎・顔面領域に骨露出や骨壊死が8週間以上持続している

※※※BRONJの臨床症状
1.疼痛と骨露出・・・特に、抜歯など外科処置部位に発生することが多い。(疼痛を伴わないこともある)
2.骨露出の前に見られる初期症状(下顎):下口唇を含むオトガイ部の知覚異常
3.腫脹、排膿、漬瘍
4.口腔内瘻孔や皮膚瘻孔
5.歯の動揺
6.X線写真・・・無変化~骨溶解像や骨硬化像
 

::: 日本国内での臨床的使用 :::

■経口BP製剤
主に、骨粗しょう症に使用されており、骨折率の低下、骨折の予防において有効性が示されています。
■注射用製剤
主に、がんの骨転移、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症の治療に使用されています。更に、骨粗しょう症による骨痛、がんの骨転移に合併する骨痛・骨関連事象の抑制に効果があります。
がん治療によって、誘発される骨量減少・骨折の抑制など、悪性腫瘍患者に多大の有益な効果を提供しています。その他にも、骨パジェット病・臓器移植後に見られる骨量減少・無重力における骨量減少・小児の骨形成不全症・異所性石灰化など、様々な骨の異常に対する治療薬として広く使用されています。

・骨粗しょう症・骨パジェット病・関節リウマチ・変形性関節症・異所性石灰化
・骨形成不全症・繊維性(骨)異形成症・骨巨細胞腫・びまん性硬化性骨髄炎
・Gaucher病・臓器移植後骨量減少・急性脊髄損傷・高カルシウム血症・骨転移・骨痛
・がん治療による骨量減少や骨折
・歯科インプラントのOsseointegration
(オッセオインテグレーション:チタンと骨が光学顕微鏡のレベルで直接的に一体化した状態)
・整形外科インプラントの緩み

 

::: 日本国内で使用されているBP :::

■経口製剤

・ダイドロネル(エチドロン酸ニナトリム) = 大日本住友製薬
◎適応症・・・骨粗しょう症・骨パジェット病
        脊髄損傷後や股関節形成術後における初期および進行期の異所性骨化の抑制

・フォサマック(アレンドロン酸ナトリウム水和物) = 万有製薬
◎適応症・・・骨粗しょう症

・ボナロン(アレンドロン酸ナトリウム水和物) = 帝人ファーマ
◎適応症・・・骨粗しょう症

・アクトネル(リセドロン酸ナトリウム水和物) = 味の素・エーザイ
◎適応症・・・骨粗しょう症・骨パジェット病

・ベネット(リセドロン酸ナトリウム水和物) = 味の素・武田薬品工業(提携:ワイス)
◎適応症・・・骨粗しょう症・骨パジェット病

・ボノテオ(ミノドロン酸水和物) = アステラス
◎適応症・・・骨粗しょう症

・リカルボン(ミノドロン酸水和物) = 小野薬品工業
◎適応症・・・骨粗しょう症

 

■注射用製剤

・アレディア(パミドロン酸ニナトリウム) = ノバルティスファーマ
◎適応症・・・悪性腫瘍による高カルシウム血症
        乳癌の溶骨性骨転移(化学療法・内分泌療法・あるいは放射線療法と併用)

・テイロック(アレンドロン酸ナトリウム水和物) = 帝人ファーマ
◎適応症・・・悪性腫瘍による高カルシウム血症

・ビスフォナール(インカドロン酸ニナトリウム) = アステラス製薬
◎適応症・・・悪性腫瘍による高カルシウム血症

・ゾメタ(ゾレドロン酸水和物) = ノバルティスファーマ
◎適応症・・・多発性骨髄腫による骨病変および固形がん骨転移による骨関連事象
        悪性腫瘍による高カルシウム血症

 

参考:「ビスフォスフォネートの有用性と顎骨壊死」
    ビスフォスフォネート関連顎骨壊死検討委員会 編
    大阪大学出版会